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障害をもつ参加者と行うワークショップについての記録と告知


by mittunouta

2月7日 創思苑を見学させてもらいました 


山田です。

大阪にあるハートブレイクという団体に連絡をとり、彼らが行っている、知的しょうがい者へのセクシャリティ支援プログラムに興味があることを伝え、講座の見学をさせてもらいたい旨のお願いをしました。

黒瀬さんという方が、彼の講師として関わった現場のひとつである
創思苑(3つの知的障がい者通所授産施設とグループホームの運営を行う社会福祉法人)いうところの見学をコーディネイトしてくださり、行ってきました。

以下、その報告です。

* * *

治りかけた風邪で身体も頭もどんよりしたまま出かけることになったが、黒瀬さんと落ち合って、少し元気になった。
黒瀬さんにはどっしりとした、安定した雰囲気があって、初対面にも関わらず安心することができた。物腰は柔らかいのだけれど、なんというか、講師のプロの人の明晰さも感じる。

彼が案内してくれた創思苑は、まず建物自体がなかなか素敵だ。
打ちっぱなしのコンクリートと木の、ちゃんと空間としてのデザインが行き届いた場所だった。

入るとすぐに、知的障がいを持つ人々がマフィンを作っている作業の現場があり、幾人かが「こんにちは~」と和やかな挨拶をしてくれた。
白い作業着に茶色いつば付きのキャップ。しゃれている。

参加させていただいたのは、週一回おこなわれている障がいを持つ当事者による会議の場だ。
「かえる会」というこの会議は、司会も当事者自身の持ち回り、議題も彼ら自身が提案し、それについて意見交換したり、問題の解決法を探したりしているようだ。

黒瀬さんとわたしが入室したときは、Aの通所施設からBの通所施設に変わりたいというHさんの希望が議題に上がっていた。
「Bの施設の方がAの施設より、人気があるのはどうしてだろう?」
「BではCDをかけて音楽が聞けるから」
とかいった意見が出されていた。
結局、
「もう一年Aでがんばってみて、やっぱりBや、ということになったらその時、みなであらためて考えよう。」
ということに話が落ちつき、Hさんもとりあえずの納得をしたようだった。
その様子を見聞きしていたら、この先も、「かえる会」とい話合いの場が、Aの施設がより魅力的な場所になるように変えていく方法を探す場として機能するのだな。とイメージすることだできた。

ふむ、ふむ、と聞いていたら、その場にいた施設理事長である林さんが、
「じゃぁ、山田さんが見学を希望ということだったので、時間を設けました。自己紹介してもらって、好きなことを聞いてもらったらいいですよ」
と明るい声でアナウンスされた。
そのつもりの準備を何もしていなくて、あたふたしている私に、林さんは
「見学をしたいということは、何か知りたいことがあってのことかな?と思ったので。」
とにっこり。

そうです。そのとおり。そのはずです。 と あわてつつ思いました。

後から考えて、私という見学者を、自然な形で参加者に仕立ててくださったなぁ。と感謝する。

黒瀬さんが力のあるリードで、しどろもどろの私を助けてくださり、何とか紹介しを終え、当事者のみなさんの恋愛観、結婚観について教えてもらう。

過去に「すてきな恋をしよう!」という講座をみなで楽しんだ経験があること、
また、その講座をやりたいと思っていること
そこで生まれたカップルもあること、
その場にいた2組のカップルは結婚していること、
結婚してよかったことは、相手がご飯を作ってくれたり「おかえり」と言ってくれたりすることだということ

等々。
語られた内容もそうだけれど、それを語っている人々の生き生きとした様子、その場にある知的な雰囲気が印象に残った。

創思苑のホームページのトップには 「自分できめる」 と掲げてある。
「かえる会」の かえる は 「変える」 の意味だという。

ダンスを教えていてもよく思うのだが、私たちの多くは、「自分できめる」ことが怖い。「変わる」ことも決して好きではない。
でも、その2つを避けたところに、知性の輝きはないように思う。

一人称で考えること、次の展開を切り開くための可能性を探ること、をきちんとやっている人には知的な輝きがある。
知性が光るか、光らないか、は、その人の意思の持ち方によっていて、もともと持って生まれた脳みその機能の問題ではなのだな。
ダンスと同じ。 と納得した。


創思苑の人々は当事者もスタッフも、おしゃれで、互いに刺激し合っていて、楽しそうだった。
理事長の林さんのフェアであること、フラットであること、に対する感覚や思想がこの場の軸になっているからだろうか。

「終わる前に、山田さんのダンスがちょっと見たい。」
と手を上げリクエストしてくださった林さん。
私がみなさんに質問して聞きっぱなし、の関係ではなくて、踊って見てもらうことができたことにほっとした。なんだか うれしかった。

*
創思苑のみなさんに会って、明るい気持ちになりました。
受け入れてくださってありがとうございました。
by mittunouta | 2008-02-20 17:07 | 他のもろもろ